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例えば言語とか文字と・・・
例えば言語とか文字とかゆうものが出来なかった、出来ていなかった昔、時代があって、その時 「ライオン」という文字は出来ていなかったし、「ライオン」という言葉も出来ていなかったわけですね。
すると「ライオン」とは何かといいますと、強いて解説すると、強力な脚をもち、鋭い爪をもち、ものすごい牙をもっている、混沌とした恐怖のかたまり。
速くて、痛くて、鋭い、恐ろしい混沌のかたまりなんですね。
ライオンじゃなかったわけです。
ところが一度これに「ライオン」という言葉をつくってあてはめてしまいますと、ライオンはどうなるかというと、人間の意識の中でかわってしまう。
やっぱり依然として、鋭くて、速くて、恐ろしい牙をもっているけれども、ただの四つ足の獣にかわってしまうわけですね。
ここで克服できたわけです。
これが文学の始まりなんです。
講演『経験・言葉・虚構』より
だからよく「絶望の暗・・・
だからよく「絶望の暗黒文学」とゆう風な広告文句が出ますけれども、文学には絶望ということはありえない。
ドストエフスキーがどんなに人間の暗黒面を描き出して絶望を書いていても、
セリーヌがどんなにものすごい絶望を書いても、
あるいは三島由紀夫が徹底的に不毛な世界を書いていても、
字でものを書いている限り、彼はヒューマニストなんですね。
講演『経験・言葉・虚構』より
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