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開高健記念館「開高健とパリ」展に衣替え

開高健記念館「開高健とパリ」展

「パリ」、そしてフランスは、初めて訳した詩人たち、リルケの暮した街、サルトル、ボーボワールなどの思想家・文学者との精神的な親近感や憧れを、開高健のなかに育んだ場所であり、遠くアラスカ、アマゾン、南北アメリカ大陸縦断、モンゴルといったのちの旅の出発点にきわめて近い土地でもあったのではないでしょうか。作家は後々まで、サルトルとの出会いを語り、フランスのワインとジョークを愛し、シャンソンを原語で歌うのを好みました。

開高健記念館「開高健とパリ」展
開高健記念会ニュース

開高健記念館の企画展示が「開高健とパリ」にかわりました。
前回は「河は呼んでいる—開高健とアラスカ—」展。

小説やエッセイなどでも度々描かれているパリ。
楽しみです。

最後にサルトルについての記述があるエッセイを二つ。

ああ。二十五年―開高健エッセイ選集 (光文社文庫)
ああ。二十五年―開高健エッセイ選集 (光文社文庫)

声の狩人 開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)
声の狩人  開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)

この身なりかまわぬ、汚ならしくて、陽気な小男は、博識のために行方を失うということがなかった。
私は彼の小さな後ろ姿に・巷の哲学者・の印象をうけて見送った。
彼は、その前夜、バスチーユ広場の群衆の中にいた。
殺到する国警の棍棒の中で、逃げまどう群衆の一人として、短い足で外套をひきずりひきずり必死になって凍てついた舗石のうえを走りまわっていたのである。
あれほど広大で濃密で聡明な、また、ときほぐし難く錯綜した、思考の肉感の世界をペンで切りひらいておきながら、もっとも単純な正義への衝動を失っていない。
四方八方を完全に閉じられた、敗れることのわかりきった広場へ殴られにでかけている。
書斎で彼は、何度となく、あらゆる角度から、知識人の非行動性についての憎悪と焦燥と絶望を描いたが、自身は明晰なままでとどまっていられないのだ。

ごぞんじ開高健より

訃報:菊谷匡祐氏(75歳)

公私ともに開高さんと親交のあった菊谷匡祐氏が、1月18日に亡くなられたそうです。

<訃報>菊谷 匡祐氏75歳=日本の文筆家・翻訳家 - isaoaoki.com 青木功公式サイト

風の便りに聞いていたのですが、どこにもまったく情報がなかったので、確信が持てずにいました。
昨年春の杉並区立郷土博物館での講演のときはお元気そうだったのに・・・。

開高さん関連の著作も豊富で、「親交の深かった菊谷匡祐氏ならでは」というエピソードがたくさん紹介されています。

開高健のいる風景(単行本)菊谷匡祐著
酒、食、釣りはもちろん、開高さんの存命中にはほとんど語られなかった、女性関係、についても詳しく著されています。
開高健のいる風景

開高健が喰った!!(単行本)菊谷匡祐著
この本を片手に、銀座や茅ヶ崎など、開高さんが通ったというお店をまわったものです。
開高健が喰った!!

「わたしはベートーヴェンが好きなように開高健の文章が好きなのです」と生前語っていた菊谷匡祐氏、ご冥福をお祈りいたします。

4/26 新刊:直筆原稿版 オーパ!

4月26日、「直筆原稿版 オーパ!」が発売されます。

大河アマゾンに、幻の巨魚と<驚異>(オーパ!)を追った、伝説の紀行ノンフィクションが32年ぶりに甦る。
ときに笑い、ときに賛嘆する作家の姿が、書き記した一字一字から伝わってくる直筆原稿版。新セレクト口絵カラー32P付。自筆原稿265枚を原稿用紙のまま(70%)縮小して、作家の筆遣い、息遣いのまま読めるように再現。
開高健生誕80年の今年、各地で行われる展覧会や催し物においても、普通の復刻版や写真版とは一味ちがう光を放つ一冊。

直筆原稿版 オーパ!(単行本)

「夏の闇」の直筆原稿版が以前、開高健記念会から発売されていましたが、今度は「オーパ!」の直筆原稿版が集英社から発売です。

また詳しいことがわかり次第、こちらで報告します。

「開高健とベトナム」展

青梅市立美術館で、「開高健とベトナム」展が開催されます。

2010/02/03〜17、二週間と短い間ですが、ぜひ時間をつくって行きたいと思います。

開高健、平和へのメッセージ 来月青梅で

平和運動家や釣り師としても活躍した作家、開高健(1930〜89年)が朝日新聞社の臨時特派員として戦時下のベトナムへ赴いた時の資料などを公開する「開高健とベトナム」展が2月3〜17日、青梅市立美術館で開かれる。戦争を批判し、平和を希求し続けた作家の遺品がメッセージを発信する。

展示品は、開高が58歳で没するまで晩年を過ごした住居で、現・開高健記念館(神奈川県茅ケ崎市)が保存する遺品の数々。従軍記者のとき身につけていたヘルメットや双眼鏡、水筒など装備品のほか、「弾よけ」のおまじないとして肌身離さず持っていたオイル・ジッポ・ライターなどの現物約20点。ほかに執筆活動や平和運動、釣り紀行の様子などを伝える写真パネル約100点も展示する。

asahi.com より

新刊:開高健—生誕80年記念総特集

開高健---生誕80年記念総特集 (文藝別冊) (単行本)

今よみがえる巨人の全貌

ベトナム戦争体験を経て、決定的な喪失を味わい、ドキュメンタリー、釣、酒、食と転戦した開高文学の再評価。
単行本未収録再録と重松清による角田光代ロングインタヴュー等。

開高健---生誕80年記念総特集 (文藝別冊)

1月22日、久しぶりに特集雑誌(単行本)が発売になります。
昨年、記念館におじゃましたときに、
「来年はいろいろありますよ」
と、係の人がおっしゃっていたので、これもその一つでしょうか。

重松清、角田光代の両氏は開高健評ではもうすっかりおなじみな感じですが、期待の一冊です。

週刊ブックレビュー番組まるごと開高健特集 再放送

今日、12月12日、NHK BSh で、週刊ブックレビュー番組まるごと「開高健特集」の再放送があります。

時間は、22:00〜22:55。

ゲストは、佐野眞一さん、角田光代さん、鬼海弘雄さんの三人。
茅ヶ崎にある、開高健記念館で収録が行われています。

番組中で紹介された、ゲストお三方の《開高健・私の一冊》、その他にも「オーパ!」シリーズ、「珠玉」など、エピソードを交えながら数冊が紹介されました。
ご参考までに。

なかなか充実した内容だったので、前回見逃した、また録画し忘れたという人はぜひこの機会に。

開高健 新刊情報

12/09(命日)
饒舌の思想
一九六〇年代、開高健が綴った濃密な年月の記録の文章。サイゴン、アウシュヴィッツ、そして東京からの緊急報、初の文庫化。

12/08
ああ。二十五年 (光文社文庫 か 40-10 開高健エッセイ選集)
没後20年後を迎える作家の<エッセイ選集>。食、酒、旅、ベトナム戦争、そして、アマゾン川とジャングル・・・・・。1958年から1983年までの、四半世紀にわたる開高健のあゆみを辿る。11篇の書評も収録。

12/04
ロマネ・コンティ・一九三五年―六つの短篇小説 (文春文庫)
長年の旅と探求がこの作家にもたらした、深沈たる一滴、また一滴―。酒、食、阿片、釣魚などをテーマに、その豊饒から悲惨までを、精緻玲瓏の文体で描きつくした名短篇小説集は、作家の没後20年を超えて、なお輝きを失わない。川端康成文学賞を受賞した「玉、砕ける」他、全六篇を収める。

「饒舌の思想」は結構な値段で取り引きされていたので、文庫化はうれしいですね。
「ああ。二十五年」光文社文庫、ルポルタージュ選集につづき、今度はエッセイ選集です。
「ロマネ・コンティ・一九三五年」は以前出ていたものと内容は同じです。