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照明弾は落下傘につる・・・


照明弾は落下傘につるされてゆっくりとおち、空と乱雲と川と貧しい町をあかあかと照らしだした。

迫撃砲の火線が椰子の梢と屋根の黒い影をこえ、空に走った。

大型軍用トラックが五台、兵隊を満載し、寝静まった町をふるわせてどこかへ疾走していった。

誰一人として見物にでてくる者もない。

これがこの国の日常なのだ。

どこかの掘建小屋でラジオがものうくシャンソンを流していた。



『ベトナム戦記』より

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